コラム
チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット旅行で思ったこと、感じたこと ③ 回る人たち

チベット人の習俗の大きな特徴の一つは、「回ること」だ。チベット語で「コルラ」と言う。寺の境内の周りを回る、バルコル(ラサの巡礼路)を回る、仏塔の周りを回る。据付けられたマニ(祈祷)車を次々と回しながら、あるいは、手に持つデンデン太鼓のようなマニ車を右回りに回しながら。あるいは、数珠を操り、経文を唱えながら。五体投地をしながら… [全文を読む]
気候変動対策における中央銀行の役割

気候変動対策における中央銀行の役割

今年の夏は、日本やヨーロッパなど各地で猛暑を記録しましたが、地球温暖化の影響でこのような猛暑が1年限りではなく、もはや毎年の恒例行事化していることは、読者の皆さんもご存知のことと思います。気候変動に対してはもはや待ったなしの対策が待たれる状況ですが、この対策において通貨改革の観点から、特に中央銀行側で実現可能な政策があるという、英国ポジティブマネーの報告書を今回は紹介したいと思います… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

チベットで見たこと、思ったこと② 爆、爆、爆!

観光スポットにバスが着くや、中国人観光客がぴょんぴょん飛び出して来る。ソーシャル用の証拠写真を撮るために。大人も子供のように走り回る。ゴミをポイ捨てする。ツバを吐く。叫ぶ。どなる。携帯スピーカーからウィーチャットに話しかけ続ける。酸素ボンベのチューブを鼻から垂らして騒いでいる人もいる。ホテルのバイキングでは、食べ物をごっそり皿に盛り、ごっそり残す。箸を直角に皿に突き刺し、首を低く突き出して… [全文を読む]
アメリカの建国と喫茶文化

アメリカの建国と喫茶文化

地球規模で人類の歴史を変える原動力となった食物がある。ブラジルやカリブ海の島々に労働力としての黒人奴隷を出現させた砂糖、アイルランドやドイツに大飢饉をもたらして民族移動の波を起こしたジャガイモ、そしてイギリスと清国とのアヘン戦争や、アメリカ革命(独立)の契機となった「茶」である。東アジアからインド北部を原産地とする「茶」には、二系統の名前がある。福建語起源の「テ(ティー)」と広東語起源の「チャ」である。西欧における喫茶の習慣は… [全文を読む]
チベットで見たこと、思ったこと ①

チベットで見たこと、思ったこと ①

夏休み、初めてラサを旅行した。高山病にならず、交通事故に遭わず、公安にスマホを取り上げられることなく、拘束されることなく、飛行機の遅延もなく、日本に戻ってこられて良かった! 2008年のチベット騒乱から10年。中国にとってチベットはどんどんセンシティブのレベルが上がっており、なるべく外国の関心がそこに向かないようにしているように見える。チベット自治区には、もはや外国人は数えるほどしか住んでおらず… [全文を読む]
外交環境の変化と日本語放送の脱皮(1971~1980)

外交環境の変化と日本語放送の脱皮(1971~1980)

1971年7月のニクソン米国大統領の北京訪問計画発表は、1970年代以降における中華民国の外交空間の狭隘化を預言するかのような出来事であった。この年10月の国連脱退、翌年の対日断交と続く外交上の挫折は、台湾民衆の心理にも大きな動揺を与えた。 これに続き75年には蔣介石総統が死去、台湾の将来は内外から危惧されたが、嚴家淦新総統の下で行政院長に就き、その3年後には総統に就任した蔣經國が強い指導力を… [全文を読む]
グローバルコンパクトについて

グローバルコンパクトについて

国連による持続可能な開発目標については、私の以前の連載(第93回)で取り上げており、また日本社会でも少しずつ話題にはなっていますが、同じく国連により提唱・推進されているグローバルコンパクトについてはまだまだ知られていません。今回はこのグローバルコンパクトについて紹介したいと思います。グローバルコンパクトは、知名度こそ低いものの、持続可能な開発目標やその前身であるミレニアム開発目標… [全文を読む]
露空母クズネツォフの黄昏

露空母クズネツォフの黄昏

アメリカ海軍とフランス海軍は今年4、5月の2カ月間にわたり、米ヴァージニア州沖で合同演習「チェサピーク・ミッション2018」を実施した。フランス唯一の空母シャルル・ド・ゴールの艦載機や乗組員が米原子力空母ジョージ・ブッシュに乗り込み、米軍の実弾を使用したり、フランス軍パイロットが米軍の早期警戒管制機を操縦し、米軍スタッフとともに飛行する演習まで行った。両海軍は2008年にも小規模の合同演習を行ったが、今回フランス側はラファール戦闘機12機… [全文を読む]
エアコンのある世界、ない世界

エアコンのある世界、ない世界

「いのちにかかわる暑さが続いています! 猛暑はまだまだ続きます! 夜もエアコンを適切に利用してください」──今年の夏、毎晩、テレビニュースはそんな言葉を連呼していた。では、日本より暑いサウジアラビアやインドやフィリピンでは誰もが夜な夜なエアコンを入れて寝ているのか? そうでもなさそうだ。世界的に見ると、1家にエアコン1台はまだまだ贅沢だ。世界的には多くの人が夜になっても気温が30度より下がらない… [全文を読む]
いすみの古民家 ②

いすみの古民家 ②

わたしたちの家を見て、いすみの地元の人は率直に言う。「こんな家、よく、買いましたね」「こういう家に住みたいって感覚、ちょっとぼくらにはわかんない」古民家を好きなのは都会人だけ。それはまるで田舎の人の好みではないのだ。田舎の人はツルツル、ピカピカしたモノが好き。それに対して、都会の人はザラザラ、ゴワゴワしたモノが好きだ。考えてみれば、白洲正子も、ソローも、ターシャ・チューダーも、古いモノや自然を愛した著名人は誰もが、もともとは生粋の都会人だった… [全文を読む]
蒋経国と鄧小平──二つの改革開放

蒋経国と鄧小平──二つの改革開放

今年は中国の鄧小平が工業、農業、科学技術、国防の四つの近代化を掲げ「改革開放」、つまり市場経済の導入へと舵を切って40年を迎える節目の年である。鄧小平が権力を確立したのは、中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議(「3中全会」1978年12月18~22日)で、毛沢東の負の遺産の解消-文化大革命で失脚した人々の復権や新たな国造りに着手した。共産主義国家・中国の一大転換点である… [全文を読む]
朝鮮戦争、政治運動下のラジオペキン

朝鮮戦争、政治運動下のラジオペキン

中華人民共和国は建国後、幾多の政治運動に翻弄される。それは中国共産党が新民主主義路線を反古にして「過渡期の総路線」を採択し、急速な社会主義化に舵を切ったことが原因のひとつになっている。中共が1950年代を通じて発動した主な政治運動を挙げてゆくと、三反運動、五反運動、農村における地主からの土地没収(中共は「土地改革」と自称)、公私合営、合作社運動、百花斉放・百家争鳴、反「右派」闘争、人民公社… [全文を読む]
トリレンマについて考える

トリレンマについて考える

国際金融や世界経済の分野では、トリレンマが話題になることがあります。トリレンマという表現はおそらく多くの人にとって初耳でしょうが、ジレンマと関係があるものの、2つではなく3つの要素の間で板挟みになる事態のことです。つまり、トリレンマという状況の中では、3つの目標全てを達成することはできず、そのうち2つを達成するためには残りの1つを犠牲にしなければならないというわけです。国際金融のトリレンマは、自由な資本移動、為替相場の安定… [全文を読む]
いすみの古民家

いすみの古民家

「古民家、見てみる?」──夫の言葉に背を押され、インターネットで物件探しをはじめたのは3年前。人生は短い。「いずれ…」という先延ばしはもうやめよう。多少がんばれば実現できることなら、だれにも遠慮せず、やってしまおう。昔から古いものが好きだった。建築も工芸も、古いものは美しい。フランス人は19世紀の建物にいまも普通に住んでいるし、チベット人は、お香の匂いのする古い文明をいまも守っている。だから、わたしはフランスやチベットが好きなのだ… [全文を読む]
陰キャと陽キャ

陰キャと陽キャ

「ママ、高校時代どんな子だった?」会話らしい会話もなくなった高1の息子から話しかけられると無条件にうれしい。それも、わたしのことを聞いてくれるなんて。自分語りの機会を逃すまじと長い演説が始まる。「えーとね、基本、目立たない普通の子だったんだけどね、『あぶれる』っていうのが一番、怖かったかな。球技大会や社会のグループ授業なんかで、先生が決めるんじゃなくて、生徒が好きな子たちでグループ作るってときがあるでしょ。『はーい、皆さん、席を立って… [全文を読む]