燕のたより
映画「罪の手ざわり」- 流血のバイオレンスの底で響く大地の鼓動に耳を澄ます

映画「罪の手ざわり」- 流血のバイオレンスの底で響く大地の鼓動に耳を澄ます

インターネットの規制が強められても、ネット空間から抗議デモ、事件、暴動など血なまぐさい情報が次々に飛び込んでくる。もう鈍感になってしまったと思っていたが、この映画に衝撃を受け、戦慄した。中国で実際に起きた四つの事件を基に、その内実に鋭く切り込んだ秀作であり、たとえ観たくなくとも、観るべき… [全文を読む]
王力雄が記録した写真──天安門事件25周年に当たり

王力雄が記録した写真──天安門事件25周年に当たり

1989年、私は北京で『黄禍(政治寓話小説)』を執筆していて、当時の天安門民主化運動に対しては、一人の傍観者であった。その時、私は「社会閑雑人員〔社会の雑多な閑人で、社会主義体制では排除・取り締まられる〕」、「無職の遊民」、「盲流〔移動の自由が厳しく制限されている戸籍制度化であちこち移動する流れ者との蔑称〕とされる身分で、民主化運動の側からも、弾圧する側からも警戒されていた… [全文を読む]
魂に響く「六四詩選」──墳墓なき心の墓碑

魂に響く「六四詩選」──墳墓なき心の墓碑

一九八九年六月四日に起きた天安門事件(血の日曜日)は、「六四」、「六四大虐殺」とも呼ばれている。「六四」はシンプルな数字だが、これがむしろ事件の象徴として、その実態を鋭く伝えていると言える。今年は「六四」天安門事件の二五周年である。あの血にまみれた残酷な鎮圧のもたらした恐怖は、今もなお黒雲のように垂れ込め、その下で人々の感情はねじ曲げられる。その状況を、劉暁波は「饕餮で淫乱で/欺瞞で独裁で… [全文を読む]
安源炭鉱の盛衰と見果てぬ夢

安源炭鉱の盛衰と見果てぬ夢

于建嶸氏は、一貫して中国社会のヒエラルキーのどん底(底層)の問題に取り組み、その政治的・経済的・文化的な権力支配を明らかにし、憲政、民主制への改革を提唱している。例えば、農村では宗族・血族支配が強まり、共産党員の三割を占める農民党員において「宗族党支部」、「家族党支部」、「親族党支部」という利権集団が形成され、貧しい農民は経済的に搾取されるだけでなく、政治的に排除されており、かつての「農民協会」を再建すべきだと論じる… [全文を読む]
反テロにより広がる民族間の隔たり──帰郷して目の当たりにした現実

反テロにより広がる民族間の隔たり──帰郷して目の当たりにした現実

2014年2月下旬、中国では大気汚染がますますひどくなり、日本のマスメディアも濃いスモッグの映像とともにPM2.5の影響を報道するようになった。北京市では連日、大気汚染指数が6段階のうち最悪の「深刻な汚染」となっていた。そのような北京に、私は関西空港から向かった。「今、行かなければならない」と… [全文を読む]
暗夜の白百合 - 天安門事件十七年忌

暗夜の白百合 – 天安門事件十七年忌

今年は一九八九年六月四日に起きた天安門事件(六四と略称)の二五周年である。劉暁波は獄中でノーベル平和賞の受賞を聞いたとき、涙ながらに「自由や民主のために努力してきた者、天安門事件の霊魂に与えられたと思う」と語ったという。劉暁波は毎年、事件を追悼する詩を書いている。ここで、十七周年に書いた詩を紹介する… [全文を読む]
炎の遺言──魂は天上で煌めき、情熱は燃えさかる

炎の遺言──魂は天上で煌めき、情熱は燃えさかる

「涙ほど早く乾くものなし」という。こう思いたくはないが、しかし、そうでなければ耐えられない現実もある。チベットから次々に抗議焼身の悲報が飛びこんで来る。今月(2013年11月)11日、青海省ゴロ州ペマ県のアキョン僧院で、ツェリン・ギェル僧は焼身して中国政府に抗議を表明した。僧は病院へ送られる途中で死亡し、これで内地焼身者は122名(内105名が死去)となった… [全文を読む]
汝を愛すが故に、汝を憎む ―陳破空『仮如中美開戦(もし中国とアメリカが開戦したら)』を読む―

汝を愛すが故に、汝を憎む ―陳破空『仮如中美開戦(もし中国とアメリカが開戦したら)』を読む―

書店に入ると、刺激的で、つい目が奪われてしまう書名が多い。活字産業は真冬の時代と言われる昨今、売れゆきが芳しくないと、著者だけでなく出版社も共倒れになりかねない。いずれにとっても死活問題なので、書名のみならず、奇抜な装幀や… [全文を読む]
「反日」の内実を洞察する──陳希我を手がかりに

「反日」の内実を洞察する──陳希我を手がかりに

陳希我という、中国では希有な知日派の作家がいる。太宰治の魂を受け継ぎ、人間の繊細な内心に鋭く切り込みつつ、社会の深層を明るみに出すラディカルな作品を次々に発表している。それは沈滞し萎縮した中国文壇に活を入れるもので、倉橋健一先生が示す太宰の「がらっぱち」な「文学の骨法」に通じるものである… [全文を読む]
鎮魂の八月に寄せて

鎮魂の八月に寄せて

八月は、日本では戦没者の追悼と平和の誓いの月である。来日してから毎年、八月を迎えるたびに、私は国連本部の壁に刻まれた「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」という言葉を思う。ところが中国政府は、戦争の歴史を共産党の勝利として喧伝し、被害に関しては、真相究明なしにプロパガンダに利用している。しかも、中国共産党は「歴史」をことのほか重大視して、公認の歴史しか許さない。それは暴力革命で樹立した共産党政権の正統性に関わるからである。そして… [全文を読む]
外国メディアはツアーでチベットに入れるけれど、私たちは再び軟禁

外国メディアはツアーでチベットに入れるけれど、私たちは再び軟禁

中国外交部がオーセルさんの主張する再開発の問題がないと主張するため、海外メディアをラサツアーに連れ出すそうです。他方、本日からオーセルさんご夫妻は再び軟禁状態です。外部とは一切接触を禁じられています。これは六四天安門事件二四周年で軟禁され、それが解除されてすぐのことです… [全文を読む]
遅れた授賞式・抵抗の美学

遅れた授賞式・抵抗の美学

五月二〇日、オーセルさんからメールと写真が届きました。アメリカ中国大使館公使のホーム・パーティで、「勇気ある国際女性賞(International Women of Courage Awards)」の授賞式が開かれました。この賞は、世界各国で社会正義と人権のために顕著な活動を行った女性リーダーの勇気を讃え、毎年アメリカ国務省が授与しているものです… [全文を読む]
オーセルさん「勇気ある国際女性賞」受賞で繋ぐダラムシャラ〜北京〜香港〜広州〜大阪

オーセルさん「勇気ある国際女性賞」受賞で繋ぐダラムシャラ〜北京〜香港〜広州〜大阪

私は三月一日から二週間ほど中国でのフィールドワークに行ってきました。両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)で厳戒中の北京までは足を延ばせませんでしたが、ダライ・ラマ法王の加持祈祷を受けたカタが、インド北部のダラムシャラ〜日本のルンタ… [全文を読む]
公共知識人としてイバラの道を歩む

公共知識人としてイバラの道を歩む

二〇一三年一月十九日、乾いた冬空から吹きつける寒風が、冷たい巨大な束となって、次々に押し寄せていた。広島から到着した新幹線から、黒いダウン・コートをまとった小柄な女性が颯爽と降りた。崔衛平女史だった。私たちは固く抱きあった。初対面だったが、志を同じくする旧知の「同学」であった。八年前の二〇〇五年五月、吉林芸術学院の若き講師、盧雪松は、独立プロのドキュメンタリー映画… [全文を読む]
日中市民交流対話プロジェクトのご案内

日中市民交流対話プロジェクトのご案内

今回のプロジェクトは、麻生晴一郎様が、長年、中国の草の根の市民と交流を積み重ねてきたことにより実現できました。中国からお呼びする方々の大半は私の友人です。中国の民主化の道のりはとても長く、市民社会の形成はとても険しいでしょう。しかし、まさに個人の確かな自立に基づく市民社会は、ボトムアップでこそ確立でき、真の日中交流は、それによらねばなりません。これも「08憲章」の基本的な精神であり、日本の民主主義にとっても隣国の民主化は重要です。 [全文を読む]