明子の二歩あるいて三歩さがる
いすみの古民家 ②

いすみの古民家 ②

わたしたちの家を見て、いすみの地元の人は率直に言う。「こんな家、よく、買いましたね」「こういう家に住みたいって感覚、ちょっとぼくらにはわかんない」古民家を好きなのは都会人だけ。それはまるで田舎の人の好みではないのだ。田舎の人はツルツル、ピカピカしたモノが好き。それに対して、都会の人はザラザラ、ゴワゴワしたモノが好きだ。考えてみれば、白洲正子も、ソローも、ターシャ・チューダーも、古いモノや自然を愛した著名人は誰もが、もともとは生粋の都会人だった… [全文を読む]
いすみの古民家

いすみの古民家

「古民家、見てみる?」──夫の言葉に背を押され、インターネットで物件探しをはじめたのは3年前。人生は短い。「いずれ…」という先延ばしはもうやめよう。多少がんばれば実現できることなら、だれにも遠慮せず、やってしまおう。昔から古いものが好きだった。建築も工芸も、古いものは美しい。フランス人は19世紀の建物にいまも普通に住んでいるし、チベット人は、お香の匂いのする古い文明をいまも守っている。だから、わたしはフランスやチベットが好きなのだ… [全文を読む]
陰キャと陽キャ

陰キャと陽キャ

「ママ、高校時代どんな子だった?」会話らしい会話もなくなった高1の息子から話しかけられると無条件にうれしい。それも、わたしのことを聞いてくれるなんて。自分語りの機会を逃すまじと長い演説が始まる。「えーとね、基本、目立たない普通の子だったんだけどね、『あぶれる』っていうのが一番、怖かったかな。球技大会や社会のグループ授業なんかで、先生が決めるんじゃなくて、生徒が好きな子たちでグループ作るってときがあるでしょ。『はーい、皆さん、席を立って… [全文を読む]
ウィンブルドン化する東京

ウィンブルドン化する東京

はたらく人が足りない。スーパー、コンビニ、飲食店、マッサージ店。どこもかしこも労働力の逼迫を感じる。一番よく見えるのがサービス業で、いつのまにか、周りは中国人、ベトナム人、インドネシア人の店員ばかり。一体、日本人の主婦や学生はどこに行ってしまったのだろう? サービスをされる側のお客さんも外国人がやたら多い。物見遊山のインバウンド外国人観光客、茅場町や新川のIT企業や証券会社で働くインド人や中国人エグゼキュティブとその家族。まるで外国のような光景は… [全文を読む]
体育会系のチベット人

体育会系のチベット人

体育会系といえば、高校時代を思い出す。休み時間に廊下をふざけながら歩いていて、ふと気づくと、横にいたはずのバスケ部の友だちがいない。振り返ると、彼女は廊下の端でコクンと首を90度前傾させ、直立不動で凍っているではないか。見ると、前からバスケ部の先輩が歩いてくる。10秒ほど凍りついていた友だちは、先輩が通り過ぎるとたちまち生気を取り戻し、再び、何事もなかったかのようにじゃれついてきた。何も大名行列や帝国陸軍じゃあるまいし…。当時、文化系部活に… [全文を読む]