北京の胡同から
梁家の三傑とその故居②

梁家の三傑とその故居②

恐らく誰もが確認したくなるのは、梁啓超一家はいったいこの北溝沿胡同23号の家に住んだのかどうか、という問題だ。まずは『北京再造』の著者で、梁啓超の息子にあたる梁思成の生涯に詳しい王軍さんに質問してみた。その答えは以下の通りだった。「あの故居は、確かに梁啓超のものではないはずです。梁啓超は戊戌の変法以前は宣武門の南にある新会会館に住み、(亡命先の)日本から戻った後は天津にある通称、「飲氷室」に住んでいます。北京で公務に就いていた時は、南長街や、清華大学の宿舎に住んでいました。未確認ですが、北溝沿の… [全文を読む]
梁家の三傑とその故居①

梁家の三傑とその故居①

このたび、2008年に集広舎さんから出版された王軍氏の名著『北京再造──古都の命運と建築家梁思成』のカバーがリニューアルされることになりました。そこでその記念に、本書に関連する記事を数回に分けて書かせていただきたいと思います。戦中、戦後の中国における著名な建築学者、都市計画学者であり、建築家でもあった梁思成は、『北京再造』のもっとも重要な登場人物である。本書では彼の北京の都市計画をめぐる提案や試み、および挫折が詳しく、実例とともに紹介されている… [全文を読む]
胡同空間をクリエイティブに再生

胡同空間をクリエイティブに再生

この秋、胡同をテーマにした芸術祭が開かれ、話題を呼んだ。北京で毎年の恒例となりつつある「北京ONE国際パフォーマンス芸術ウィーク」というイベントが、今年は胡同そのものや胡同の中にある空間をアートの場に変えるという画期的な実験を繰り広げたからだ。このイベントの主旨に共鳴した筆者は、後述するような講演者という形で積極的に協力した。だがさまざまな事情から、いくつかの主要なアート・イベントは… [全文を読む]
東北の旧市街地をめぐる旅 ③大連

東北の旧市街地をめぐる旅 ③大連

瀋陽と大連にはよく似ている点がいくつもある。中山広場の周りに日本統治時代のコロニアル建築が整然と並び、広場からは放射線状に道路が延びている。鉄道の駅舎はそれぞれ日本の東京駅や上野駅と似ていて、いずれも現役だ。だが当然ながら、そういった国家レベルのプロジェクトとは別の次元で、いずれの街でも名もない庶民の暮らしが、脈々と営まれてきた。とりわけ大連に残る戦前からの古い街並みの現状は、人々の生活… [全文を読む]
東北の旧市街地をめぐる旅 ②瀋陽

東北の旧市街地をめぐる旅 ②瀋陽

ハルビンでの滞在を終えた私たちは、チチハルを経て、瀋陽へと向かった。瀋陽といえば、現在は中国屈指の重工業都市としてのイメージが強い。だが実際は、多様かつ複雑な歴史が刻まれた都市でもある。清王朝を開いた満州族が最初に首都を置き、皇宮を築いた場所であり、また日露戦争後、東北地方に進出した日本が重要な拠点として建設に励んだ都市でもあるからだ… [全文を読む]
東北の旧市街地をめぐる旅 ①ハルビン

東北の旧市街地をめぐる旅 ①ハルビン

中国の東北地方にはかつて帝政ロシアや日本が建てた建物がたくさんある、ということはかねてから聞いていたし、それらをいつかぜひこの目で観てみたい、ともずっと願ってきた。だがなかなか実際の行動に移すきっかけがなかった。東北地方に限らず、中国には存続が危ぶまれ、なるべく早く観ておいた方が良い古い街並みが各地にあり、どこを優先すべきかは、難しい問題だからだ。悲しいかな、こういう状態の時、実際に… [全文を読む]
お寺と図書館の古くて新しい関係

お寺と図書館の古くて新しい関係

ある日、北京の花市にある東城区第二図書館、つまり区の合併前は崇文区図書館と呼ばれていた施設を訪ねた。とはいえ、本探しのためではない。ここに、お寺と公立図書館という、ちょっと新鮮だけれどどこか納得もしてしまう、興味深い組み合わせがあると知ったからだ。両者が組み合わされたきっかけは、崇文区図書館が本館を建て直す間、臨時の建物として「火徳真君廟」の址を利用したことだという… [全文を読む]
北京の文化界の現状をめぐる私見

北京の文化界の現状をめぐる私見

最近、北京は日本の人々にとって、以前にもまして「近くて遠い街」になりつつあるようにみえる。北京滞在の日本人にも、帰国者は目立つ。確かに、現在の北京の言論界や芸術界に、十年前のような期待感や活気はない。表現の自由をめぐる日本での報道を見る限り、北京の常識は日本とかけ離れていく一方にも見えるはずだ。だが本当にそうなのだろうか… [全文を読む]
文化財を守り、公開し、継承する──万松老人塔と「磚読空間」

文化財を守り、公開し、継承する──万松老人塔と「磚読空間」

北京でよくお世話になっている古書店、「正陽書局」が分店を開いたと聞いて、西城区にある古い歴史をもつ胡同、磚塔胡同を訪れた。新しい店は、ぴったりだといえばぴったりなのだが、それでもちょっと意外な場所にあった。現在残っている北京の構造の基礎は明の永楽帝の時代に築かれたものだとされているが、実際にはそれより前の元代に歴史が遡れる… [全文を読む]
映画『黒四角』に込めた思い/奥原浩志監督インタビュー

映画『黒四角』に込めた思い/奥原浩志監督インタビュー

日々緊張の度を増す日中関係。それは北京で表現活動をする日本人たちにとっても、いまや無視できないテーマとなっている。そんな中、『タイムレスメロディ』、『青い車』などの作品で知られる映画監督、奥原浩志氏が、日中の映画界の精鋭を結集し、気になる新作『黒四角』を発表した。時空を超えたせつないラブストーリーを演じたのは、陸川監督の『南京!南京!』での熱演が話題を呼んだ中泉秀雄と… [全文を読む]
映像を通じて「痛み」を共有──「地底の葬列」鑑賞会

映像を通じて「痛み」を共有──「地底の葬列」鑑賞会

日中双方のメディアが互いの国について報道している内容の是非については、近年、さまざまな議論がある。だが日中を問わず、多くの人々が普段、メディアのみを通じて互いに関する情報を得ている以上、メディアを通じた交流が、今ほど重要である時はないといえるだろう。だが、その方面での試みはこれまであまりにも少なかった。その欠を補う試みが、昨年スタートした「東アジアメディア交流プロジェクト」だ。2回目となる今年は… [全文を読む]
伝統空間で楽しむ現代アート 清水恵美「阡陌(せんぱく)」展

伝統空間で楽しむ現代アート 清水恵美「阡陌(せんぱく)」展

2月の中旬、北京で精力的に作品を制作し続けている日本人アーティスト、清水恵美さんの個展が開かれると聞き、足を運んだ。絵画、インスタレーション、パフォーマンスと、表現のジャンルを超えて活躍する清水さん。そのシンプルで洗練された作品は、伝統や大自然と生身の身体や魂を自在につなげる柔軟さに満ちている… [全文を読む]
仙台の二つの顔 モニュメントとしての校舎たち

仙台の二つの顔 モニュメントとしての校舎たち

昨年の12月、縁あって仙台を訪れることができた。仙台といえば、やはり今はまだ2011年の東日本大震災との関連で語られることが多い。実際、筆者の関心もその方面にあったが、実際に訪れてみると、もう一つの重要な面に気付かされた。ここには、日中の関係に暗雲が立ち込めている今だからこそ、ぜひ忘れずにおきたい、もう一つのモニュメントがあったのだ… [全文を読む]
新たな写真の祭典 北京国際写真ビエンナーレがスタート

新たな写真の祭典 北京国際写真ビエンナーレがスタート

どんな試みでも、最初の一歩は貴重だ。それが海外とのつながりを視野に入れた試みなら、なおさらだ。10月24日、北京における初の写真ビエンナーレ、「第一回北京国際写真ビエンナーレ アウラとポスト・アウラ」が中華世紀壇をメイン会場としてスタートした。運営は中央美術学院美術館が担い、展示は12月7日まで続く… [全文を読む]
地元を巻き込んで成熟 第八回宋荘文化芸術祭

地元を巻き込んで成熟 第八回宋荘文化芸術祭

北京の東郊外、通州区の一角に、宋荘という芸術村がある。この宋荘で今、今年で8回目になる宋荘文化芸術祭が10月31日より開催中だ。周辺展も含め、39もの展覧会を一斉に開催。地元の人々を大幅に巻き込んだアートの「お祭り」は、広場での屋外インスタレーション展示や屋外での絵画市などを除き、11月15日まで続く… [全文を読む]