北京の胡同から
巨岩に刻まれた謎の文字 密雲県の番字牌

巨岩に刻まれた謎の文字 密雲県の番字牌

秋は北京にとって最高の観光シーズン。10月に八達嶺長城を訪れる機会があった筆者は、往年と比べ、日本人観光客が激減していることに遺憾の念を覚えたものの、それを補って余るほどの国内の観光客の数に圧倒された。言うまでもなく、長城より北はかつて「塞外の地」と呼ばれ、長い間、漢民族にとっては外国も同前だった。今でも北京っ子の感覚の中にはそんな区分けが… [全文を読む]
昆明発、都市から失われた伝統

昆明発、都市から失われた伝統

10月3日の朝、『南方週末』を手にした私は、その一面記事に目を疑った。今年の9月6月、雲南省昆明で開かれたある会議で、雲南省の省委員会書記、秦光栄の口から、地元の人文・自然環境を破壊する無節操な開発を批判する発言が、容赦なく発せられた、というのだ。それは以下のように「6つの反省」としてまとめられた… [全文を読む]
「自分の家に住む権利」をめぐる半世紀の闘い

「自分の家に住む権利」をめぐる半世紀の闘い

「生まれ育った伝統ある四合院を守り、そこでふたたび暮らしたい」。ただそれだけを願い、あらゆる手をつくし、ときには体を張って、半世紀を闘い抜いた女性がいる。今年77歳になる馬秀明さんだ。そのきわめて平凡な願いは、たゆまぬ努力を経て、半分は叶えられた。だが、再開発の欲望がもたらす無情な圧力の下、半分は踏みにじられてしまった… [全文を読む]
この夏のパフォーマンスより/行為と空間との関係

この夏のパフォーマンスより/行為と空間との関係

ややもすれば誤解や不安や偏見が幅をきかせる社会の空気の中で、楽しく痛快に過ごす秘訣、それはクリエイティブな人や作品たちと接すること。その創造行為が現在進行形なら、なおさら刺激的だ。とはいえ、現代アートに関しては、創作やパフォーマンスの場に「居合わせる」機会は、無いことはないまでも限られている、というのが、一般の見方だろう。だが、この夏に目にした展覧会は、ちょっとした例外だった… [全文を読む]
北京における外国映画 戦争と革命の描かれ方

北京における外国映画 戦争と革命の描かれ方

北京などという街に住んでいたら、ろくに海外の映画など観られないのではないか、見られたとしても偏りが多いのでは? と思っている日本の方は少なくないかもしれない。確かにある程度はそうだ。海外の映画祭で受賞した話題作でも、北京では劇場公開されず、悔し涙をのむことはよくある。特に最近は、インディペンデント系の映画祭が当局の介入により中止に追い込まれたり、妨害を受けたりしている… [全文を読む]
八大胡同の諸相 高級料亭から女性用銭湯まで

八大胡同の諸相 高級料亭から女性用銭湯まで

先回も登場した八大胡同。前門の西南に広がるその一帯は、清の末期から民国期にかけては、北京最大の遊郭街であり、貴賎さまざまな人々の欲望や野望、陰謀、駆け引き、そして愛憎の舞台となった。よく誤解されているが、八大胡同は単純に色だけを売っていた街ではない。実際にそこに集まっていた店の種類や格式はさまざまだった。上客の接待、商人や政治家の談合などに使われ、いわば一見さんお断りの京都の料亭や… [全文を読む]
歴史を変えた名妓、賽金花と小鳳仙

歴史を変えた名妓、賽金花と小鳳仙

政治と文化の街である北京に関しては、どうしてもお堅くかしこまったイメージが先行しがちだ。だがもちろん、多種多様な人々のあくなき欲望に支えられてきた一面もあり、多くの大都市の例にもれず、その繁栄と爛熟の裏側に、さまざまな闇をも抱えてきた。前門を代表する繁華街、大柵欄をずっと西に行くと、道端の店はどんどんと庶民的だがどこかひなびた、猥雑な味を増していく。時代を若干遡るようにして… [全文を読む]
蘇った名演目~日中の役者が昆劇を共同公演

蘇った名演目~日中の役者が昆劇を共同公演

優れた文化は時代や国境を超えて愛される。とはいえ、伝統芸能の演じ手が、本国以外の土地でその芸能への情熱を貫き、研鑽を積み続けるのは並大抵のことではない。ましてや舞踊、歌唱、演技などのさまざまな要素が混じり合い、複数の仲間を必要とする古典演劇であればなおさらだ。そんななか、600年以上の歴史をもち、『百戯之母』とも呼ばれている中国の伝統劇、「昆劇」をこよなく愛し、日本でその稽古に… [全文を読む]
断片から構成されるもの 胡向前と洪浩の個展より

断片から構成されるもの 胡向前と洪浩の個展より

胡同は一つの宇宙だ。とはいえ、物理的には大都市の片隅の細い路地に過ぎない。そんな中にいて、しかもメディアの規制の強さを実感する毎日を過ごしていると、いかに今はインターネットで世界と繋がっているとはいえ、時おり自分にはごく限られた身辺の情況しか見えていないような気がしてくる… [全文を読む]
新世界の希求──西太后の都市計画

新世界の希求──西太后の都市計画

以前、北京の都市計画の研究に携わっていた友人が、北京のミニチュア模型を見下ろしながら、いろいろと説明してくれたことがある。「これらの高すぎるビルの上層階を削って、この一帯に伝統的な景観を取り戻せば…」。あくまで計画段階のもので、計画自体も、無法な乱開発ではなく、伝統的景観の保護のためのものだったが、ミニチュアの上で身ぶり手ぶり… [全文を読む]
街の記憶を記録「老北京網(オールド・ベイジン・ネット)」の奮闘

街の記憶を記録「老北京網(オールド・ベイジン・ネット)」の奮闘

北京の文化財や歴史に関心のある人たちに人気のウェブサイト「老北京網」。2000年の立ち上げ以来、北京の歴史、地理、文化財、民俗、風土、画像資料などの分野を網羅したその豊富な情報量によって多くのファンを獲得してきた。ところが2012年夏、ウェブサイトは突然見られなくなった。サイトの掲示板では… [全文を読む]
意識の変革を通じ、真の文化財保護を──北京文化遺産保護センター、何戍中さんインタビュー

意識の変革を通じ、真の文化財保護を──北京文化遺産保護センター、何戍中さんインタビュー

北京の伝統ある市街地のあちこちで、今もなお続く無情な取り壊し。だがその荒々しい手を必死で押し止め、価値ある建築物を破壊から守ろうとしている人たちがいる。全国でも数少ない、文化財の保護を目的… [全文を読む]
清らかな流れと巨大な臼──復活した製紙の里

清らかな流れと巨大な臼──復活した製紙の里

毎日大量に使われ、大量に破棄されている紙。だが言うまでもなく、その製造技術は長い歴史と人々の多大な努力を経て発達してきた。電子書籍も流行し始めてはいるけれども、まだまだ私たちが紙から得ている情報は多い。ごく小さな村だが、中国にもそんな紙作りの伝統を長閑な農村風景を味わいながら参観できる場所がある。貴州省貴陽の郊外にある、香紙溝という一帯だ。 [全文を読む]
私塾を通じて「漢」文化を復興

私塾を通じて「漢」文化を復興

上海のとある安宿に泊まっていた時のこと。山東省出身という面白い女性に出会った。年齢は40歳前後だろうか。少し親しくなると、彼女はさまざまな自説を披露してくれた。「解放後、男女平等を唱えるようになった結果、女性は男性と同じノルマを与えられるようになった。でも女性は体力的には男性より劣る上に、子育てや家事などの仕事の負担は依然としてまだ大きい。その結果、女性は以前より疲れ果ててしまうようになった… [全文を読む]
高級品路線に希望 桃花塢の年画

高級品路線に希望 桃花塢の年画

昨年12月、蘇州を訪れる機会があった。民芸ファンにとって、蘇州と聞いて思い浮かぶのは桃花塢。かつて北の楊柳青と並んで「南桃北柳」と称された、「年画」の二大産地の一つだ。「年画」とは、中国の民間版画の一種。春節になると、各家の門や壁などに、厄除けや吉祥を祈るために貼られた。桃花塢の年画は宋代に始まり、明代に全国へと名を広めた。清代には最盛期を迎え、長崎を通じて江戸時代の日本にも渡り、浮世絵版画に影響… [全文を読む]