狼の見たチベット/第23回
吾輩は狼である。
人間と他の動物との違いは何か?
そんな疑問を、古来からお前さんたち人間は議論してきた。
『道具を使う動物は、人間だけだ。』こんな主張がある。
ところが、チンパンジーの中には、蟻塚の白蟻を食べるために木の棒を使うものがいる。
また、石を落として他の鳥の卵を割って食べる鳥もいる。
道具を使う動物は自分たちだけなどというのは、人間どもの傲慢以外のなにものでもない。
そこで、これを一歩推し進めて『道具を作る動物は、人間だけだ。』という主張が出てきた。
しかし、先述のチンパンジーたちは、ただ落ちてる木の棒を使うのでなく、使いやすく加工して使っている。
ならばということで、チンパンジーは木の棒を加工するといっても自分の歯や手しか使っていない。『道具を作るために道具を使う動物こそが人間だ。』と主張する連中がいる。
間違いではないのだろうが、なかなかまだらっこしい表現だ。
狼の見たチベット/第22回
我が輩は狼である。
ここ数日、野菜やツァンパ(麦を乾煎りしたものチベット人の主食)ばかりを食べているチベット人たちを時折見かける。どうやらサカダワの季節が来たようだ。
いきなり聞きなれない言葉に戸惑うものもいるかもしれないので説明することにしよう。サカダワとは、チベット歴の4月のことだ。正月のことをロサルと呼ばれのと同じようにチベット人たちはチベット歴の4月をサカダワと呼ぶ。
なんだただの月の名前かと、わざわざ説明を聞いて損したと思うものもいるかもしれない。
しかしチベット人たちにとってサカダワは大事な意味がある月なのだ。
狼の見たチベット/第21回
我が輩は狼である。
先日語った東チベットで起きた大地震について、もう少し語ろう。
地震から一週間ほどは、日本国内でも報じられていたので地震の存在を意識することもあったかと思う。
ところが、いつしか報道は消え、地震があったことすら覚えてない人も多いのではないだろうか。
地震のことをお前さんたち日本人の多くが忘れてしまったのは仕方がない部分も多い。
中国政府自体が、地震が起きて一週間ほどで、すでに終わったこととすべく幕引きに動いていたのだから。
狼の見たチベット/第20回
我が輩は、狼である。
あまりに辛い話、苦しい話ばかり続くと、読み手諸君の中には読む気が減衰するものもいるだろう。
読み手がいなくなってしまえば、我が輩が話を語る意味もないので、今日は少し柔らかい話をしよう。
チベットに関心を持つものならば、カラフルな小旗が連なっているものを見たことがあるのではないかと思う。
家や寺のような建物、山の上など、チベットのあらゆる場所に、この小旗はたなびいている。

狼の見たチベット/第19回
我が輩はオオォォォォォォォ.....。激しい揺れだ、舌を噛んでしまった。
我が輩は狼である。2010年4月14日未明、チベットの大地に激しい揺れが走った。
四足の我が輩ですら立っていられない激しい揺れだった。
学者たちの区分でいうとマグニチュード6.9の地震だそうだ。
もっとも、このマグニチュードという言葉も、いろんな測定方法があり、どれがどのくらい凄いのか我が輩にもぴんと来ない。
我が輩にわかることは、多くの建物が壊れ、多くの人々が死んだことだけだ。
青海地震とも呼ばれている今回の東チベット大地震は、中国による占領下にあるチベット東部カム地方で起きたものだ。
チベットの三大地域のうちウーツァンはチベット自治区として一塊りの統治区分になり、残りのカムとアムドは分割されて幾つかの省に編入されたという話は以前話したので覚えてくれてるかと思う。
今回地震が起きたのはアムド地方との境界に近いカム地方で、被災した住民の八割から九割がチベット人だと言われている。














