点石斎画報/第30回
頁三十一 甲四《病中易腿》
杭城長慶街某甲以箔爲業年來命途乖舛賦閑家居邇日又抱沈痾漸就羸瘠呻吟床褥間生氣奄奄僅存一息一日上燈後妻女下樓用晚膳短藥獨對無限感懷意似合眼睡去恍惚有人直達臥室視之一矮漢黑而肥肩負一腿雲從清波門外來與君調換不俟問故即出刀襲其左者而以負來之腿相與拍合不啻移花接木也某懼極聲嘶妻女疑有他故亟奔樓頭備詢巔末秉燭審視而兩腿之巨細判若天淵顧不奇哉夫人精(奧?)一(處?) 物憑而爲 不必斥爲事理之所必無特無解於持一腿來易一腿去並告以清波門外來於義何所取也姑存之以質世之博物君子
《病中易腿》
杭州長慶街の某という男、失業して家にいたが、そのうえ重病にかかり、まさに気息えんえん。ある日の灯ともしごろ、彼は情緒不安定の状態で、寝床でうとうとしていた。すると意識朦朧とした中で一人の黒くて太った背の低い男が現れた。そいつは肩に一本の足を担いでおり、寝床に近づいて来て言った。「おれは清波門外からやって来た。お前の足を一本取り換えてやるためにな」。そう言いながら刀を抜いて某の左足を切り外し、持って来た足をすげかえたが、意外にもそれはうまい具合にピッタリとはまった。某は恐怖のあまり大声で助けを呼んだ。女房が聞き付けて二階に上がって来て明かりを点けて見たが、なんと某の片足は太く片足は細いという奇怪なありさまになっていた。思うに、人間は一旦ふさぎこみ精神がたるんでくると、幽霊がたやすく取り付いて悪さをするものらしい。
点石斎画報/第29回
頁三十 甲四《不堪回首》
佐貳雜職本是朝廷不甚愛惜之官然自其本身視之則固儼然一命之──不與齊民爲伍矣乃以餘所聞則大不然洋場之拉東洋車者至苦亦至賤也流氓遊手生計毫無借此獲數文錢差勝沿街托缽故雖雨淋日炙路遠宵深而馳逐爭先甘與驢馬同其困苦者誠以自視其身本無足奇耳不謂曾任江蘇實缺巡檢某而亦淪落於其中也日前石路中有人雇東洋車車夫應聲至未及問價即忸怩遁去乃知拖車者爲某巡檢而雇車者即其衙門當差者也可不畏歟籲青蚨飛去不復來歸數千兩軋軋奔波不知幾許紈絝也然如某佐襍者鳩形色縮猶憶及騶導傳呼日耶
《不堪回首》
十里洋場の異名がある上海では、人力車曳きのような仕事は最も苦労が多く最も卑賎なものとされる。毎日数文の銅銭を稼いで、乞食より少しはましという程度である。かつて江蘇省の巡回検査官の実務ポストに就いていたこともある男が、失敗し没落のあげく、なんと車を曳いて口を糊する境遇になってしまった。数日前のこと、街頭で車を呼んでいる人がいたので、元検査官の車夫が返事をしながら車を曳いて客の前にやって来た。しかし突然彼は顔色を変え、値段決めの話どころか、顔を伏せてあっという間にその場から走り去ってしまった。車を呼んだのは、彼がもと勤めていた役所の下役だったからであった。
点石斎画報/第28回
頁二十八、二十九 甲四《人財兩失》
《人財両失》
(前頁のつづき)郭の妻は夫の疑惑を打ち消すために、ある日、大男のちょっとした過失をとらえて彼を激しく罵り、家から追い出した。夫婦の仲はそれで無事安穏な日々に戻った。二か月後のある夕刻、大男は郭の家に潜入し、台所でこっそり郭の妻に会って打ち合わせをした。もともと彼は強盗犯であって、今回は仲間を連れて郭の家財を強奪しにやってきたのだった。真夜中になって六七人の盗賊が門を破って入って来て、郭を庭の柱に縛り付けたのち、家財を洗いざらい略奪した。大男は郭の妻を抱き抱え、「旦那はほっといて、さっさと高飛びしようぜ」と言いながら、大威張りで表門から出て行った。
点石斎画報/第27回
頁二十八、二十九 甲四《人財兩失》
距金陵八九十裏與句容相接之處有小湖焉上承高(鷗?)定浦下接丹陽太湖實帆檣之孔道非荒汀冷港可比居人時聞湖中有鎗火聲然以事不幹己姑置之湖之南半裏許有郭某者崇明人初以耕湖濱漲灘爲業黃收金粟紅摘玉蘆暇或結網捕魚 長頸瓠跂牙薑相與擔貨於市日獲其利家遂康自以三十許人娶婦頗少艾力能舉孟光之杵然青荷中婦鏡黃竹女兒箱尚堪顧影翩翩不似農家塵俗物也一日與孔武有力之某甲相遇於市自稱亦崇明人彼此敘鄉誼酬飲食聞郭有錢鎛之役願爲傭郭貪其直廉引與俱歸呼之曰弟即爨下而嫂其妻次日甲請行隴畝郭二指示之甲果戴星出入辛苦異於常傭郭轉恨得甲晚久之郭並瞻杏望蒲視昏戒旦奚諉諸甲己則昕於市逐魚鹽權子母思以什一起家市上有黠者爲之主郭深信之捨其家或數日不歸或數日一歸歸亦忽忽不暇問家計視家如傳舍不知甲自操家政早已移居於內鼾睡乃兄之榻不啻食其肉寢其皮矣一日郭忽暮歸不爲備見妻與甲有皇遽狀心疑之徐察婦婦力諱然心終不釋婦恐其下逐客令也因謂甲曰子速去毋零令彼牢籠我也蓋婦諗知甲爲綠林之豪有巢穴以避禍而隱於傭事已解故令其速謀瓦全毋爲鏡破兩人之相期白首者非一日矣至是甲偽以索貲與郭口角且數郭妻而痛罵之恨恨出門郭果不疑其妻待之如初妻又勸郭貸租於人厚其值三年不取息可免置傭工者又勸郭將肆中所入藏之內府不乙太阿倒持於人又勸郭就家中宿自持門戶郭見其計殊切實頗自喜越兩月甲忽搖扁舟泊湖側湖上人多語以似曾相識者甲亦以故燕歸來自認天將晚直詣郭宅伏牖下見郭據中庭方食即繞至爨下雨郭妻語所以妻且驚且慰舉案置郭前笑謂曰今日方得爲梁鴻妻矣夜既半甲率六七人破門入縛郭反接於柱以絮塞其口搬物既盡始負其妻出且謂曰不勞君送急解纜矣天既明鄰人始來相視蓋盜以一人遍號於左右禁其出入 鄰佑無一人敢啟扉者郭得釋顧家中別無一長物放聲大哭自恨依然一耕灘窮漢也
《人財両失》
南京の南方八九十里のところに小さな湖があり、崇明出身の郭某が湖畔で耕作をなりわいにして、暮らし向きはたいへん豊かであった。ある日、彼は定期市場で崇明人と自称する一人の大男に出会った。両人は同郷のよしみから、もっと早く知り合えばよかったと話した。郭は大男を連れて家に帰ったが、男は郭の妻に会い、彼女に向かって「大嫂(兄嫁・おねえさん)」と呼んだ。このあと男は郭家の手伝い人となった。彼は朝早く起き夜遅く床につき、よく働いたので郭夫婦は大喜びだった。しばらく経って、大男と郭の妻はひそかに相通じる仲になった。郭も察するところがあり、妻に問いただしたが、妻は誓ってそんなことはないと言い張った。(次頁につづく)
点石斎画報/第26回
頁二十七 甲四《英國地震》
英國東邊地方於三月廿七日早九點半種地震其伊潑蘇依出與戈吉思德兩處爲尤甚焉始則鐘鐸錚然作響俄而門戶震撼器皿徙移戈吉利思德有大禮拜堂一所有塔高十五丈突然傾塌禮拜堂碎成齏粉居民亦覆壓不少一時奔避倉皇號哭遍野猶幸在日間受傷之人雖不計其數而震死者僅一小孩一婦人而已設在黑夜其禍當更有烈者然亦非常之災已
《英国地震》
英国東部で三月二十七日の朝九時半に地震が発生した。教会の塔の鐘が突然音を立て始め、続いて家鳴り振動が起こり、皿や器が揺れ動いた。高さ十五丈の教会堂のタワーが傾いて倒れ、教会全部の建物が粉々に砕け散ったため、多くの人がその下敷きになって負傷した。当地の民衆はパニックになって逃げ走り、泣きわめく声が満ちあふれた。さいわい地震発生が昼間だったので、怪我人は数知れずだったが、死者は婦人が一人と子供が一人だけですんだ。













