六月になると、いつもこの詩を想い、古傷が疼くばかりです。

 燕燕、于(ゆ)き飛び
 其の羽を差池(しち)にす
 この子、于(ゆ)き帰る
 遠く野に送る
 瞻望(せんぼう)するも及ばず
 泣涕、雨の如し

(『詩経』より)

 さて、6月4日、土曜日、四川省成都の家庭教会「秋雨之福帰正教会」より王牧師をお迎えし、次のようにサロンを開くことになりました。教会の名前は『聖書』詩篇84篇7節「嘆きの谷を通るときも、そこを泉とするでしょう。雨も降り、祝福で覆ってくれるでしょう」からです。
 2005年、リベラル憲政学者の王怡氏と数人の求道者が集って始め、現在は、知識人や学生を中心に信徒が千名を越えています。習近平体制の反西洋イデオロギーの下、中国政府当局と信仰の自由を守るキリスト者とのせめぎあいが続いています。今後、どのようになるのか、祈りをもって見守りたいです。
 また、文化人類学者の楊海英・静岡大学教授は、20年以上も前から「変容するオルドス・モンゴルのカトリック」について研究してきました。モンゴル草原で激動の時代を生き抜いた神父のライフ・ヒストリーを通して、カトリック教徒の過去から現在に至る変容、そして今後の展望についてお話ししていただきます。

日時とプログラム

6月4日(土)
第Ⅰ部 14:30-14:35 挨拶(安保智子さん)
14:35-15:45 王牧師「中国家庭教会の現状と展望」(通訳あり)
    15:45-16:30 楊海英教授
「未発掘のモンゴル人キリスト者の歴史と現状」
    16:30-17:20 パネル・ディスカッション
                王牧師、楊教授、劉燕子
    17:20-17:40 質疑応答、意見交換
第Ⅱ部 17:40-17:50 天安門事件27周年を偲び
劉暁波の詩「17歳へ」の朗読(王宇偉さん)
黙祷

参加費

1000円 資料代、ワン・ドリンクとお菓子付き

場所

fermata(レストラン、貸し切り、素敵な雰囲気)
     阪神本線・野田駅より南西へ徒歩5分
     地下鉄・野田阪神駅、7番出口から徒歩3分
     JR東西線・海老江駅より南西へ徒歩5分
       三菱東京UFJ銀行に面した通りを入り、あさひ薬局の向かい。
   電話 06-6441-6673
   住所 553-0006 大阪市福島区吉野2-10-12 ゴールデンラピス103号

 その後、懇親会を開きます(18時から20時)。
 参加費:4000円(素敵なイタリア料理、ドリンク自由)

 参加希望の方は、できるだけ早くご連絡ください。
 ◉安保さん TOMOKO ABO [abohoken@gmail.com]
 ◉劉燕子 Yanzi@mta.biglobe.ne.jp

参考

・劉燕子「劉暁波とは誰か」『「私には敵はいない」の思想』(藤原書店、共著)所収(特に家庭教会と「〇八憲章」の箇所)
・劉燕子「現代中国におけるクライシスの深まりとディスクールの動向-聖書「ダニエル書」と「家庭教会」をめぐり」『関西学院大学言語教育研究センター年報』第18号、2015年
・劉燕子「文化大革命とキリスト者-我ら信仰のために-」『中国文化大革命と国際社会』静岡大学人文社会学部、2016年
・楊海英「変容するオルドス・モンゴルのカトリック」『西日本宗教学雑誌』第16号、1994年
・楊海英「ローマ法王もたじろぐ?―「反キリスト」中国の教会弾圧」『ニューズ・ウィーク』
・劉暁波「箱舟教会の警察への抵抗が啓示するもの」『天安門事件から「〇八憲章」へ』(藤原書店)
など。

付記
 20年ほど前から「家庭教会」は息を吹き返し、政治、経済、文化などあらゆる方面で現代中国の重要な一角を占めてきています。そして中国社会は根本的な変化を余儀なくさせられでしょう。
 中国とキリスト教という、やや意外な組み合わせですが、しかし、中国においてクリスチャンが増えていて、一説では、2030年には4億人を超えるかもしれないと言われています。ところが、中国政府はカトリック教会に対してバチカンと断絶することを求めているように、キリスト教への取り締まりを強めています。さらに、2014~15年の1年間に、浙江省だけで一千数百の教会が破壊されたり、十字架を撤去されました。
 それは民主化に関わる潜在力があるからです。劉暁波は中国の未来は民間にありとして、教会のキリスト教的な愛をもって暴力に立ち向かう非暴力の闘いに注目していました。「〇八憲章」の最初の署名者の一割はクリスチャンでした。
 自由な公民精神によるコミュニティ(civil society)の形成、公正な社会秩序を理想とすることでコンセンサスを得ることは、中国の「反外国主義」や「ナショナリズム」を乗り越え、中国人の精神の近代化を進めるということで、民主化の一翼を担うことになるのではないでしょうか。
 みなさまの熱いディスカッションを期待しています。

市民サロン「燕のたより」について
 2011年より開催してきました。
 これは何らかの組織ではなく、志を抱き、独立精神を有する人々が自由に語りあう場(フィールド、プラットフォーム)です。
 お互いの意見を尊重し、質の高い議論を交わしつつ、現場から発信されている生き生きとした情報を共有し、様々な立場を超えて新たな公共空間の創造(市民的で自己組織的な公共性)を目指します。