先日開催された『チベットの秘密』出版記念会のおり、著者のツェリン・オーセルさんよりメッセージをいただきました。劉燕子さんによる抄訳をここに掲載させていただきます。

『チベットの秘密』出版記念会へのツェリン・オーセルさんのメッセージ(抄訳)

(2012年11月16日、大阪)

日本のみなさま、今日は。
 中国共産党党大会の一週間だけで、7名のチベット人がからだを炎で燃やし、命を捧げて、抗議しました。毎日毎日、この胸が張り裂けるほどの痛みを覚えています。
 チベットの習慣では、今、ラサにいる私は、みなさまに「タシデレ」と言うべきです。「タシデレ」の意味は、「タシ」は喜慶、「デレ」は吉祥で、「タシデレ」でおめでとうという挨拶になります。
 しかし、チベット人にとって、現在では、「タシ」でもないし、「デレ」でもないのです。お互いに「サプサプチェ」と言って気をつけていなければならないのです。恐怖に包まれているチベット人の気持ちが、お察しできるでしょう。
 党大会が開かれる三カ月前、私は警察により北京から強制的に退去させられました。
 海抜五千メートルのふるさと、ラサにおいて、私はまるでアパルトヘイトに置かれたようです。私の親族、友人はみな、警察から訊問や嫌がらせを受けています。
 今、私はセラ寺に近いアパートに住んでいます。頭を上げると、ポタラ宮を眺めることができます。ポタラ宮は、ダライ・ラマ十四世の家です。
 半世紀以上、この家には住む人がいなく、がらんとしています。昼は観光客の喧噪と厳重な警戒が敷かれていますが、夜のポタラ宮は寂寞としています。でも、至純な輝きを発しています。
 私は信じています。その輝きの中で、私は「大きな秘密」と出会っていることを。
 数日前、燕子が国際電話をかけてきました。日本語版『チベットの秘密』出版の喜びを二人で分かち合うことができました。
 しかし、私の電話はたくさんの「耳」に聞かれています。隠れた盗聴者は、この出版に憤慨したでしょうか、喜んだでしょうか。
 日本のジャーナリスト、福島香織さんは、ツイッターで、この日本語版出版を知らせてくれました。
 「劉燕子の翻訳はとてもすばらしい。オーセルの詩やエッセイの翻訳がとても上手に表現されています。涙を流しながら本を読み終えましたが、現実のチベットのニュースには、言葉で表しきれません。」
 私は、燕子が精魂込めた翻訳と解説で、「チベットの秘密」を日本の読者に伝えてくれたことに感謝します。
 集広舎の川端さんに感謝します。
 数年前、私の父が遺した写真に証言を編集した『殺劫』も出版してくれました。
 本日は、ご多忙のなか、準備してくださる安保さんはじめ、ボランティアのみなさんに感謝します。
 ご来場のお一人お一人に心より感謝します。
 みなさんのお顔を拝見することはできませんが、この「チベットの秘密」を通してご縁ができ、お会いすることができるでしょう。
 遠からず、いつの日か、親愛なる日本の読者と、雪国の高天原が自由の陽の光を浴びて、至高の美に光り輝くなかで、お会いしましょう。

2012年11月14日、ラサ

◎オーセルさんのブログに「チベットの秘密」出版記念講演会@大阪が紹介されてます。
http://woeser.middle-way.net/2012/11/blog-post_20.html

◎昨夜の「チベットの秘密」出版記念講演会@大阪の記事をUPしました。
http://blogs.yahoo.co.jp/electric_cat2003/63066546.html

◎「チベットの秘密」のレビューはこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/electric_cat2003/63064084.html