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公開書簡:日本語版

小社サイトのコラム『中国知識人群像』のコラムニスト及川淳子さんより下記のメールを頂戴いたしました。及川さんのご許可を得て、ここに転載させていただきます【編集室】

 12月4日、中国の公民による政治犯釈放を呼びかける公開書簡が、独立中文ペンクラブのウェブサイトで発表されました。
 この公開書簡は、「08憲章」と「劉暁波のノーベル平和賞受賞に関する声明」(2010年10月14日)の署名者が中心となって起草したもので、12月10日の「世界人権デー」と劉暁波のノーベル平和賞受記念を前に発表されました。発起人と第一次署名者は中国国内在住の40名で、現在ウェブサイトとメールで署名が集められています。
 公開書簡の関係者から、日本の皆様にぜひ通知してほしいという依頼がありまして、転送する次第です。中国語の原文と日本語訳を添付いたしますので、ぜひお目通し頂けましたら幸いです。
 独立中文ペンクラブのウェブサイトでは、公開書簡の英語版、日本語版、フランス語版も掲載される予定だそうです。最新の署名者も名簿がまとまり次第、順次掲載と聞きました。
 今回の公開書簡では、劉暁波夫人の劉霞に対する不当な処分を停止する呼びかけも明記されているほか、思想・宗教の自由について、政治体制改革の推進についての記述もあります。
 18回党大会を終えて政治改革に関する議論が注目されていますが、中国国内から発せられた声に、ぜひご注目いただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 追伸:
 この公開書簡に呼応する形で、「世界逾百诺奖得主促中国释放刘晓波」が発表されました。あわせてご覧ください。
 ◎世界逾百诺奖得主促中国释放刘晓波

及川淳子

中国の公民が新たに就任した中国共産党の指導者に政治犯の釈放を呼びかける

 「08憲章」の発表と劉暁波が逮捕されてから4周年、また劉暁波がノーベル平和賞を受賞した記念式典からまもなく2周年を迎えるにあたり、中国大陸の公民たちが中国共産党の新たな指導者に公開書簡を送付し、劉暁波とすべての政治犯を釈放し、政治犯の釈放を突破口として政治体制改革を始動させるよう呼びかけた。

 公開書簡は「08憲章」の基本精神と主張を受け継ぎ、中国の人権状況の改善が緊迫していることを強調し、「08憲章」運動が4年を経て抑圧されながらもなお発展し続けているという情勢を明らかにしている。

公開書簡の全文は以下のとおり

中国共産党中央委員会 習近平総書記
中国共産党中央政治局 各常務委員
全国人民代表大会常務委員会

 2008年12月に公布された「08憲章」は、中国社会の各界が「世界人権宣言」に賛同するという意思を伝え、中国政府が署名した「市民的権利および政治的権利に関する国際規約」に対する中国公民の支持を表明し、現行の憲法が定める人権保護条項が着実に実行されることに対する人々の要求を表し、公正な社会を構築して憲政民主を実現するよう呼びかけたものである。国際社会の関心を集め、国内外から幅広く認められた。

「08憲章」の発起人である劉暁波博士は逮捕され、懲役11年の実刑判決を受けた。多くの公民も「08憲章」への署名を理由として、それぞれ程度こそ異なるが懲罰を受けた。これは明らかに公民の基本的権利を侵害し、中華人民共和国の憲法と法律に違反するものである。

 中国共産党第18回党大会と新たな指導者たちは、世界と国内の人々から希望を託され、政治体制改革を始動できるか否かは世界が注目する焦点となっている。政治体制改革は困難極まりなく、理性的な思考と秩序ある歩みが必要であり、私たちは社会における各種の力がひとつに凝集して、この道程を共に前進していくことを願っている。

 新しい社会変革を促進する起点として、私たちは以下の提言を行う。

一、法的手続きを実施に移し、劉暁波博士に対する誤った判決を正し、すみやかに彼に自由を獲得させる。
二、劉暁波夫人の劉霞に対する人身の自由制限を停止し、彼女に対する強制隔離を取り消して、彼女に正常な生活を回復させる。
三、政治的立場、思想の表現、宗教と信仰によって拘禁され、刑罰を下された人々を釈放する。
四、独立した政治的立場を有する人々、独立した言論を発表する人々に対する監視を停止し、様々な形で人身の自由を制限することを停止する。

 私たちは、政治犯と思想犯の存在は、中国が責任ある大国としてのイメージを築く上で役立たないと考える。このような状況を終わらせることは、中国が政治文明に向かって進むための重要な条件である。

 中国が直面している問題は錯綜して複雑であり、改革の前進は困難である。私たちすべてが力を合わせて共に成し遂げようではないか。

敬具 2012年12月4日

第一次署名者(苗字のピンイン順)
陳子明/北京
崔衛平/北京
丁家喜/北京
丁子霖/北京
杜小真/北京
傅国涌/杭州
郭于華/北京
郝 建/北京
賀衛方/北京
胡発雲/武漢
胡 佳/北京
胡 杰/南京
黄海涛/広州
蒋培坤/北京
老虎庙/西安
梁暁燕/北京
劉 水/広東
陸以諾/苏州
慕容雪村/北京
浦志強/北京
王徳邦/広西
王東成/北京
王荔蕻/北京
王書瑶/北京
王小山/北京
王在平/武漢
温克堅/杭州
呉洪森/上海
肖国珍/北京
笑 蜀/広州
邢小群/北京
徐 旭/宜昌
徐友漁/北京
許志永/北京
楊 海/西安
張敏宴/上海
張宗寿/江西
張祖樺/北京
趙常青/北京
朱 毅/北京

 この公開書簡は引き続き署名のために開放されるものとし、署名者は独立中文ペンクラブのウェブサイトにアクセスして署名フォームに記入するか、または氏名(必須事項、著名なペンネーム、またはウェブネームでも可)、居住地(必須事項)、職業(任意)、メッセージ(任意)を明記するか、あるいは前述の文言を署名用のメール thenobelpeaceprize2010@gmail.com 宛に送付されたい。

(この公開書簡はEMSで全国人民代表大会に送付する)

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