紫の花伝書──花だいこんを伝えた人々──
細川呉港著
四六判上製本/368ページ/本体2200円+税
ISBN 978-4-904213-13-1 C0095
発行/集広舎 発売/中国書店

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それは四十六年前の新聞の読者投稿から始まった『花だいこん談義』

 四十六年前の新聞の投書欄からこの探索の旅は始まる。その記事は、ベテランの新聞記者が、生涯で一番充実した仕事と言わしめた「花だいこん談義」。戦後、日本中に広まった花だいこんの来た道を追って。今、初めて明らかにされる中国大陸からの五つのルートと五つの人生。揚子江沿岸、上海、北京、そして満洲から。彼らが生きた時代は、まさに戦争の時代だった。
 オリンピックの二年後から東京のあちこちで見られ始めた、不思議な魅力を持つ紫の花の群落、花だいこん。その花の名前や、伝搬のいわれをめぐって、さまざまな議論が紙上で展開された。最後は、植物学者・昭和天皇の投書まで登場して「花だいこん談議」は沸騰するのである。種子を大陸から持って帰った人達は、みんな戦後の焼け野原になった日本を、薄紫の花で一杯にしたいと願った。花は人間の心と人生を託して、運ばれていく。このルート探しと捜索の旅は、これから心豊かに老後を過ごそうとする人達にとっても、ひとつの道しるべになるのではないだろうか。感動の前作『草原のラーゲリ』に続く著者渾身の新刊。

〈著者略歴〉
細川呉港(ほそかわ・ごこう)。1944年広島県生まれ。1965年移民船でキューバへ。早稲田大学卒。集英社入社後、宣伝部、日本版 PLAYBOY、ファッション誌 MORE 編集部、筑波科学博覧会副館長をへて学芸編集部長。現在はフリー。東洋文化研究会主宰。牧野植物同好会会員。著書に『満ちてくる湖』平河出版、『ノモンハンの地平』光人社、『日本人は鰯の群れ』光人社、『草原のラーゲリ』文藝春秋社など多数。