チベットの秘密

発行日/2012年11月15日
著/ツェリン・オーセル、王力雄
編著/劉燕子
発行/集広舎
四六判/上製
定価/2,800円+税

アマゾンで購入

 

「野蛮」を照らし返す精神の輝き

 民族固有の文化を圧殺された上、環境汚染・資源枯渇など全般的な存在の危機に直面するチベット。北京に「国内亡命」を余儀なくされ、一人のメディアとして創作と発信を続けてきたチベット出身の女性詩人が、闇に隠された「秘密」に澄明な光を当てる。 王力雄「チベット独立へのロードマップ」及び編訳者による「雪の花蕊─ツェリン・オーセルの文学の力」を併録。

 私たちは、彼女の詩やエッセイから、廃墟となった古刹、町中にあふれる兵士や警官、地響きを立てて進む戦車や装甲車、狙撃されて倒れる少女、背後に光る目、連行、拷問、投獄、処刑、逃走、抵抗、抗議の焼身自殺等々を読みとることができる。そして、読後には加害者の凶悪な姿か、抵抗者の尊厳ある偉大な姿か、人間としていずれを選ぶべきかと考えさせられる。
 このような意味で、オーセルの詩は(中略)ロマンチックなメルヘンでも、さらに政治的な告発でもなく、「野蛮」な暴力の前であまりにも脆く儚い人間を愛惜しつつ、なおまた人間にとって何が大切なのかを照らし出す柔らかで奥深い輝きである。(劉燕子「雪の花蕊」より)

著者(編訳者)紹介

ツェリン・オーセル(茨仁唯色 Tsering Woeser)
1966年、文化大革命下のラサに生まれる。作家・詩人。著書に『西蔵在上』(青海人民出版社、1999年)、『西蔵─絳紅色的地図─』(時英出版社、2003年)、『殺劫』(大塊文化出版、2006年。日本語訳は藤野彰・劉燕子共訳『殺劫─チベットの文化大革命─』集広舎)など多数。2007年「ヘルマン・ハミット賞」、2009年「林昭記念賞」、2010年「勇気あるジャーナリスト賞」などを受賞。

王力雄(わん・りぃしょん)
1953年、吉林省長春市生まれ。作家、民族問題研究者。著書に『漂流』(1988年)、『ダライ・ラマとの対話』(2002年)、『黄禍 新世紀版』(2008年)、『天葬』(増補改訂版、2009年)など多数、日本語訳は『私の西域、君の東トルキスタン』(集広舎、2011年)。2002年「当代漢語貢献賞」、2003年「ヘルマン・ハミット賞」、2009年「真理の光賞」などを受賞。

編訳者:劉燕子(りゅう・いぇんず)
作家、現代中国文学者、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。中国北京生まれ。湖南省長沙で育つ。訳書に『温故一九四二』(中国書店、2003年)、『中国低層訪談録─インタビューどん底の世界─』(集広舎、2008年)、『殺劫─チベットの文化大革命─』(集広舎/共訳、2009年)、『天安門事件から「08憲章」へ』(藤原書店/編著訳、2009年)、中国語著書に『這条河、流過誰的前生与后世?』など多数。