台湾原住民オーラルヒストリー書名:台湾原住民オーラルヒストリー
副題:北部タイヤル族和夫さんと日本人妻緑さん
著者:菊池一隆
判型:四六判・上製・290頁
定価:2700円(本体2500円+税)
ISBN978-4-904213-50-6 C0022

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1960年代,戒厳令下の台湾─国際文通での交際の末,北部タイヤル族の男性に嫁いだ日本人女性がいた。直接体験者の語りにより,史料には現れにくい当時の台湾の実相を浮き彫りにする。「日経」,「読売」他,各紙誌で絶賛の前著『台湾北部タイヤル族から見た近現代史』の姉妹本。

■「まえがき」より抜粋
 タイヤル族には元来文字がなかった。口承,伝承が重要な意味を持ち,それによって各種の規範,伝統,種族史などが伝えられてきた。その結果,タイヤル族側からの史料がほとんどないという事実に突き当たる。かくして,それを打開するためにインタビュー,現地調査など,オーラルヒストリー的手法が極めて重要になるのである。歴史学にとっても台湾原住民史研究など史料や研究が少ない分野では,インタビューなどによって補強することは不可欠であろう。なぜなら残っているほとんどの史料は清朝,日本,そして国民党政権など為政者によるもので,彼らの声,活動を聞き取れず,それらの歴史は埋もれてしまうという危険性があるからである。
 したがって,筆者は少ない史料を重視しながらも,同時にインタビューを組み合わせ,それを史料的に可能なものは地道に検証し,台湾北部タイヤル史の実態,本質解明に挑戦することにした。

■著者紹介 菊池一隆(きくち・かずたか)
1949年,宮城県に生まれる
筑波大学大学院歴史・人類学研究科(史学)博士課程単位取得満期退学。現在,愛知学院大学文学部教授,博士(文学),博士(経済学)。著書多数
1999年,中国社会科学院近代史研究所等共催「中華人民共和国成立50周年中国革命史中青年学術海外優秀論文賞」受賞

■目次
まえがき 11
第一部 台湾桃園県復興郷角板山のタイヤル族
第一章 タイヤル族「和夫」さんと日本人妻緑さん──海外文通・愛の確認・結婚・山での生活
 はしがき
 一 和夫さんと緑さんが結婚した時の状況
 二 結婚後の山での生活と習慣の差について
 三 「蕃刀」と入れ墨
 四 緑さんの山での生活

第二章 「和夫」さんに対する単独インタビュー──父への思い・自らの生き方・そして緑さんへの愛
 はしがき
 一 和夫さんの父・泉民雄について
 二 和夫さん自身のこと
 三 緑さんとの文通、そして結婚

第三章 緑さんの生き方──父母・戒厳令下の台湾・「和夫」さん・義父母・娘のこと
 はしがき
 一 緑さん自身と両親など家族に関して
 二 結婚当初と戒厳令下の台湾政治状況
 三 義父母(和夫さんの父母)と娘について

第二部 角板山タイヤル族へのインタビュー──「白色テロ」などを中心に
 【解題】「白色テロ」について
 【証言1】ワタン・タンガ(林昭明)による回憶
 【証言2】林昭明氏に対するインタビュー──台湾タイヤル族の起源・清朝・日本植民地・国民党政権
 【証言3】黄新輝氏に対するインタビュー──ニューギニアの高砂義勇隊について
 【証言4】林昭光氏に対するインタビュー──霧社事件・二二八事件・「白色テロ」・中国共産党について
 【証言5】林茂成氏と林昭光両氏に対するインタビュー──伝統文化・日本植民地・戦争・国民党政権
 【証言6】林茂成氏に対する単独インタビュー──「白色テロ」下での父(ロシン・ワタン)の逮捕・処刑後とその後の家族
 【証言7】黄栄泉氏に対するインタビュー──略歴・キリスト教徒となった契機・布教活動

主要関連文献
あとがき
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