モンゴル人の民族自決と「対日協力」──いまなお続く中国文化大革命

中国文化大革命50周年

書名/モンゴル人の民族自決と「対日協力」
副題/いまなお続く中国文化大革命
著者/楊海英
発行/集広舎
A5判上製本 384頁(予定)
定価/本体2980円+税
ISBN/978-4-904213-41-4 C3022

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ジェノサイドの背景浮き彫り

 中国で「10年の動乱」と呼ばれるプロレタリア文化大革命(文革)が始まってから今年は50年になる。終わってからでも40年だ。けれど、いまも文革の全容はあきらかにされたとはいいがたい。
 文革のなかで共産党政権が内モンゴルのモンゴル人に対するジェノサイドをおこなっていた事実を、筆者はさまざまな史料をほりおこして暴いてきた。本書では文革より前の時代から説きおこし、ジェノサイドの背景に何があったのかを浮き彫りにする。
 たとえば根ぶかい民族的な偏見。50年の反右派闘争という政治運動に関連して、漢族の学生がモンゴル人の学生に「お前ら老韃子(ローダーツ)の首を切ろう」となんども語っていたことが、紹介される。「韃子」とは遊牧民に対する蔑称だ。
 あるいは、暴力的で容赦のない政治闘争。教員養成学校の幹部は中国の革命について「殺した人間の数はまだ少ない方だ。ソ連などは殺し過ぎたので、緊張が高まっている」と語ったという。
 こうした反文明的な傾向を共産党政権は拭い切れていない。習近平国家主席ひきいるいまの政権の下ではむしろ強まっている、と著者は懸念する。たしかに、当局に連行された人が公判に先だってテレビカメラを前に罪を認め自己批判する映像がながれる現実は、文革めいている。

日本經濟新聞2016年(平成28年)10月16日(日曜日)読書