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集広舎

インド解き放たれた賢い象/書評・西日本新聞

変革の内実と教訓示す

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 本書は著者の自伝として自信の経験を綴り交ぜつつ、独立から現在に至るインドの変容を描いている。国内外からの広い視点でインドの社会経済や政治などを詳細にとらえることができているのは、著者がハーバード大学を卒業したのち経営者や著述家として活躍することによるものだろう。インドに関する本は外国人の手によるものが多かったが、本書はインド人自身の手によるものである。
 本書ではインドの国際的な台頭の要因を1991年から始まった経済改革と、IT革命の進行による知識経済かへの対応に求めている。独立の指導者ネルーにより民主主義がインドに導入されたと同時に、経済においては社会主義的で非効率な「官許統治」が種々の無駄な規制を生み出す帰院となった。市場経済を理解しない官僚が長期にわたり企業を抑圧したことを、筆者は自らが経営者として経験した「許認可の憂うつ」を元に痛烈に批判している。
 経済改革では市場主義経済へと脱却が図られ、グローバルな自由競争にインドが参入したまさにその時期に世界で進行していたIT革命の潮流にインドは乗った。経済改革を推し進め、かつて産業革命に失敗したインドが知識社会で競争優位を持つことに至ったことが、本書タイトルのインドが「解き放たれた」ことの意味するところである。筆者はインドと中国の世界経済における台頭を西洋のルネッサンスや産業革命に匹敵する重大な出来事とし、世界に影響を及ぼすインドの変革について、その内実に見える教訓を含めて本書は日本人に伝えてくれる。
 著者によるインドの将来に対する予想は、全体を通して楽観的で自信にあふれたものだ。今世紀の初めの25年でインド人の大部分は中流階級になると予測し、さらに今世紀の前半にインドの経済問題が解決され貧困が消滅する可能性さえ示している。2008年秋以降の経済危機については本書には含まれないのだが、楽観的な著者の意見を聞いてみたいところである。

九州大学比較社会文化研助教  大杉 卓三

西日本新聞 2009年(平成21年)6月7日 日曜日

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書名:インド解き放たれた賢い象
著者:グルチャラン・ダース
訳者:友田浩
A5平/418頁
定価 3,486円(税込)
発行:集広舎
発売:中国書店
ISBN:978-4-904213-04-9 C0098 ¥3320E
インド人による初めての本格的なインド紹介の本と評判の『インディア・アンバウンド』の邦訳。ノーベル経済学賞受賞者アマルティア・センも「自叙伝、経済分析、社会調査、政治点検およびビジネス展望が、ない交ぜになってインド理解へと導く素晴らしい本」と絶賛する。

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