燕のたより
命の価値はどれほどの日々を生きたのではなく、どのように生きたのかによる

命の価値はどれほどの日々を生きたのではなく、どのように生きたのかによる

二人の林氏に心から敬服します。銅鑼湾書店の林栄基氏は、タバコを3本吸ってからようやく勇気を奮って真相を語り始めました。氏は香港の詩人の舒巷城の詩句を引用し、自分の気持ちを表しました。「ぼくはひざまずく本棚を見たことはない。しかし、ぼくはひざまずく読書人を見たことがある」。烏坎村の林祖恋氏… [全文を読む]
文化大革命発動50周年にあたり

文化大革命発動50周年にあたり

水ぬるむ候となりました。お元気でお過ごしのことと存じます。さて、2016年は文化大革命発動50周年にあたります。文革は歴史としてだけでなく、今日の問題でもあります。習近平体制はますます毛沢東の手法を使い、まさに文革の再来を彷彿とさせます。かつて、文革は「造反有理」などと、新左翼や全共闘に影響を及ぼし、今でもノスタルジックな回想などがあります。でも、当時、三島由紀夫、川端康成はじめ諸先生4名が… [全文を読む]
過ぎ去らぬ文化大革命──文革勃発50周年に際して

過ぎ去らぬ文化大革命──文革勃発50周年に際して

初唐の詩人、宋之問の詩句を詠みながら、気がせかされながらあっという間に過ぎ去った一年間に思いをはせています…。一年を締めくくるに際し、「日、暮れて、途、遠し」の感は否めませんが、「我が行く、今だ已まず」を噛みしめています。教鞭をとり、諸事に忙殺されながら、夜の闇に言葉を立ちあげられない悲哀や寂寞、時に苛立ちに包まれて、コツコツと日中両語で翻訳や著述を書きつづってきました… [全文を読む]
中国民主化の「奥の細道」を照らす詩の灯火(ともしび)

中国民主化の「奥の細道」を照らす詩の灯火(ともしび)

花冷えの四月五日、こぬか雨のそぼ降る大阪の難波、ネオンの映る道頓堀で、私は中国人一行と会した。彼らは言論統制が厳しくなる一方の中国において、鋭い批判や風刺で人気を博しているブロガーであり、日本のある財団が、その表現活動に注目し、招聘した。和食レストランで、日本酒は「人肌のお燗で」などと宴の席の雰囲気がほどよい感じになったころ、洒落たパナマ帽にサングラスという装いでパイプをくゆらせ、悠揚として… [全文を読む]
中国における「家庭教会」の広がりと当局の教会破壊、十字架撤去

中国における「家庭教会」の広がりと当局の教会破壊、十字架撤去

聖書「ヨハネ福音書」冒頭の「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった」の「言葉」はギリシア語の「ロゴス」である。小論は、この「ロゴス(言葉)」の本源的な意味を踏まえて現代中国のキリスト教における言説(ディスクール)の一側面について検討する。キリスト教は思想的精神的にヘブライズムに位置づけられる。またギリシア語はヘレニズムと密接に関連する… [全文を読む]
「人間の条件1942(温故一九四二)」を読むために

「人間の条件1942(温故一九四二)」を読むために

「人間の条件1942(原題は温故一九四二)」は、現代中国文学を代表する作家の劉震雲が史実に基づいて著したルポルタージュ小説、その映画化ために劉震雲自身が書きおろした脚本、そして映画(馮小剛監督〔中国のヒット・メーカーと呼ばれる〕)の三つがある。いずれも重厚なテーマを、独特のユーモアやアイロニーを交えて生き生きと表現した名作である… [全文を読む]
ニセ札、ニセの紙幣識別機、ニセの両替支店、何から何までニセ !?

ニセ札、ニセの紙幣識別機、ニセの両替支店、何から何までニセ !?

さる七月三一日、二〇二二年冬季オリンピックの開催都市が北京に決まった。その日、私は北京に向かおうと関空にいたが、あいまいな説明のまま大幅に遅れていた。五時間ほどして、ようやく飛び立ち、一年半ぶりに、北京国際空港に到着した。入国手続きを終え、スーツケースを受けとると、税関の横に両替所があり… [全文を読む]
譚合成『血の神話──1967年、湖南省道県における文革大虐殺の記録』を読む

譚合成『血の神話──1967年、湖南省道県における文革大虐殺の記録』を読む

中国の湖南省といえば、日本人はまず「毛沢東」の名前を思い浮かべるだろう。毛沢東をどのように評価するかは、現在でも賛否両論で、「毛粉(毛沢東の熱狂的な崇拝者)」から「抜毛(否定論者)」まで様々な意見が出ている。中国の公式見解は、一九八一年六月の中共十一期六中全会における「建国以来の… [全文を読む]
「高速」な中国における「低速」な人生──「路橋人」残酷物語

「高速」な中国における「低速」な人生──「路橋人」残酷物語

「大路-高速中国里的低速人生」というタイトルで、中国の独立プロダクションの映画監督、張賛波はドキュメンタリー映画(未公開)を制作し、また同名の著書を台湾八旗文化出版社から2014年9月に刊行した。タイトルの「大路」は、具体的には高速道路を指している。中国は国策として猛烈なハイスピードで… [全文を読む]
中国人(漢人)の必読書──『墓標なき草原』中国語版序文

中国人(漢人)の必読書──『墓標なき草原』中国語版序文

静岡大学教授、楊海英氏の『墓標なき草原』(岩波書店、司馬遼太郎賞受賞)の中国語版が台湾の八旗文化出版社により刊行されました。翻訳者は劉英伯・劉燕子です。劉英伯はわが父です。父は北京大学在学中に反右派闘争に遭遇し、右派分子とされ、学籍・党籍をはく奪され、江西省の僻地の鉱山技術者となりました… [全文を読む]
孤高でニヒルなダンディズム──自由を骨の髄から渇望し、魂の奥底から叫ぶ

孤高でニヒルなダンディズム──自由を骨の髄から渇望し、魂の奥底から叫ぶ

「それはすべての時代の中で最もよい時代でもあれば、最も悪い時代でもあった。(略)光明の時でもあれば、暗黒の時でもあった。希望の春でもあれば、絶望の冬でもあった。」十九世紀、チャールズ・ディケンズは『二都物語』の冒頭で、このように述べた。そして二世紀を経た今日、この言葉を改めて思い起こす… [全文を読む]
ユゥトン!ユゥトン!私たち女子組

ユゥトン!ユゥトン!私たち女子組

蘇雨桐(スゥユゥトン)と私は、昨今の言い方では「女子組(中国語では閨蜜)」で、ドイツと日本で遠く離れていてもとても気脈が通じあえる。ユゥトンは、中国で地方ラジオ局の記者であった。ジャーナリストとして社会問題に取り組み、水の汚染による被害者を支援するNGO「守望家園」を創設し、日本の水俣病やイタイイタイ病の経験や教訓を学ぶために来日したことがある。彼女は、闘志の中にあふれるばかりのユーモアを… [全文を読む]
変態辣椒『現代中国の風刺漫画』5点の紹介

変態辣椒『現代中国の風刺漫画』5点の紹介

2012年9月、尖閣諸島(中国名は釣魚島)の国有化に端を発した反日デモは、200以上の都市に広がった。反日デモは、統制がますます強化される中国で、唯一許容される示威行動である。極めて弱い立場に置かれた市民でも、これをチャンスとばかりに参加し、さらに日ごろのうっぷん晴らしも加わり激越になり、騒動や暴動さえ起きた。しかし、反日を激しく叫んでも… [全文を読む]
ラァジャァ!ラァジャァ!──「親日」「媚日」という罪でネットから全面的に封殺

ラァジャァ!ラァジャァ!──「親日」「媚日」という罪でネットから全面的に封殺

友人に時事漫画家の変態辣椒(ビェンタイ・ラァジャァ)がいる。本名は王立銘、1973年生まれの湖南の人で、筆者と同郷である。ラァジャァは社会問題・事件について、大手ポータルサイトの新浪、騰訊などで諷刺漫画を発表し、フォロワーは70万を超え、その影響力は大きい… [全文を読む]
映画「罪の手ざわり」- 流血のバイオレンスの底で響く大地の鼓動に耳を澄ます

映画「罪の手ざわり」- 流血のバイオレンスの底で響く大地の鼓動に耳を澄ます

インターネットの規制が強められても、ネット空間から抗議デモ、事件、暴動など血なまぐさい情報が次々に飛び込んでくる。もう鈍感になってしまったと思っていたが、この映画に衝撃を受け、戦慄した。中国で実際に起きた四つの事件を基に、その内実に鋭く切り込んだ秀作であり、たとえ観たくなくとも、観るべき… [全文を読む]