ダライ・ラマ 声明 1961-2011書名:ダライ・ラマ 声明 1961-2011
著者:ダライ・ラマ十四世 テンジン・ギャツォ
訳者:小池美和
判型:四六判/並製/350頁
定価:本体1,852円+税
ISBN978-4-904213-53-7 C0031

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非暴力の世紀を目指して

ダライ・ラマ十四世の半世紀にわたるチベット民族平和蜂起記念日での声明文をすべて収録。巻末に『ストラスブール提案』『五項目和平プラン』などの訳文資料をはじめ、法王の足跡を辿る史的価値ある写真群を付す。

【本書《チベット民族平和蜂起四十三周年記念日の声明》より】
私たちは経験から学ばなければなりません。二十世紀を振り返るなら、人々の惨憺たる苦しみの原因は、考えの違いや争いを暴力で解決しようとする風潮にあったことがわかります。ゆえに、私たちが挑戦すべき課題は、この新しい二十一世紀を、非暴力によって争いを解決する世紀にすることなのです。

【本書《序文》より】
一九五九年三月十日にチベットの首都ラサで発生した出来事は、チベット史における重大な出来事としてチベット人の心に刻まれています。この日、チベットの民衆は中国政府の暴虐に対し自然発生的に蜂起し、中国軍はこれを武力弾圧によって鎮圧しました。以来、世界に離散したチベット人は、毎年三月十日をチベット民族平和蜂起記念日とし、祈りを捧げてきました。

【著者略歴】
ダライ・ラマ十四世(テンジン・ギャツォ)。1935年、チベット東北部アムド地方に生まれる。2歳のとき転生活仏ダライ・ラマ14世と認められる。1949年の中国のチベット侵略に伴い、15歳で政治・宗教両面の国家最高指導者となる。1959年に亡命。インドのダラムサラに亡命政権を樹立。チベット問題の平和的解決を訴え続け、1989年にノーベル平和賞受賞。2010年、民主主義功労勲章を米国政府より授与。2011年には『TIME』誌が選ぶ世界の象徴的政治家トップ25に、寛容と平和の提唱者として選ばれた。著書は『ダライ・ラマ 菩提心の解説』(大蔵出版)、『ダライ・ラマ 宗教を超えて』(サンガ)、『傷ついた日本人へ』(新潮社)、『ダライ・ラマ自伝』(文春文庫)、『チベットわが祖国』(中公文庫)など多数。

【訳者略歴】
小池美和(こいけ・みわ)。岐阜県在住。翻訳者。2006年よりダライ・ラマ法王日本代表部事務所の翻訳ボランティアに参加。2008年3月より、ダライ・ラマ法王の声明の翻訳を担当。

【目次】
序文
ダライ・ラマ 声明 1961-2011
 チベット民族平和蜂起記念日の声明(1961年から2011年までの51編を収録)
参考資料
 ストラスブール提案
 五項目和平プラン
 国連総会決議
 十七か条協定
写真で辿るダライ・ラマ十四世の足跡
 

書評

非暴力の世界を目指す聖人、その発言の記録を集大成
ノーベル平和賞に輝くダライ・ラマ法王の半世紀の足跡を追体験

 第一級史料で、ダライ・ラマ法王の半世紀にわたる声明を貴重な記録として集めたばかりか、本書の最終章には珍しい写真が幾枚も挿入されている。
 評者(宮崎)は、まず写真集に見入った。
 一枚一枚、その時代背景、その幼き風貌の少年時代から、痩身の青年時代。まだ毛沢東、劉少奇らとの共存を模索していた時代の影の深い写真など。
 四歳の時、ダライ・ラマはクンブム僧院に滞在していた。あどけなさが残るものの、その双眼は慧眼な光りを宿している。五歳で玉座にすわったが、その表情はすでに大人の風貌である。
 1956年、シッキム訪問。翌年はインドを訪ね、ネルー首相と会談した。
 1959年三月、馬車に荷物をつみこみ、馬にまたがって峻嶮はヒマラヤを越え、インドに亡命した。
 1989年、長年にわたる平和活動への貢献ぶりが評価され、ダライ・ラマに『ノーベル平和賞』が贈られた。
 そして、ここから評者がさらに食い入るように写真に見入ってしまった。
 1993年、訪米したダライ・ラマ法王は米国大統領ビル・クリントンと会見した。
 2001年にはブッシュ大統領と、2010年にはオバマ大統領と、そしてことしはトランプ大統領とも会見(※)した。が、本書は2011年までの記録なので、後者の写真は入っていない。
 つらつら考えたことは、いまさら言うまでもないが、なぜ日本の首相はダライ・ラマ法王を首相官邸に招き、懇談しないのか?
 いったい誰を怖れ、どんなことに怯え、いや誰に遠慮して、ダライ・ラマ法王との面会を果たせないのか。日本の首相がダライ・ラマを正式な国賓としてお迎えする日を、ひたすら待ち望むのである。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)12月16日(土曜日)
通巻第5550号より

※ 集広舎編集部追記:ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のルントック代表より「トランプ大統領との会見があったというのは間違いです」とのご指摘がありましたので、編集部追記として訂正いたします〔2017年12月27日〕